中国の電気自動車(EV)スタートアップ企業「シャオペン・モーターズ」は、中国南東部に大規模な組立工場を開設し、現在は隣接地に関連工場を建設中だ。第三工場の建設計画も発表している。
スウェーデンの自動車メーカー「ボルボ」の筆頭株主「ジーリー・ホールディンググループ」は2021年4月、中国東部で、世界最大の規模を誇る新しいEV工場を披露した。
中国で建設中のEV工場の数は、世界中のEV工場を全部ひっくるめた数に匹敵する勢いだ。
中国の自動車メーカーは、外国人投資家や地元の有力者から調達した数千億円相当の資金を利用して市場に参入し、既存のEVメーカーを追い越そうとしている。
EV生産台数も充電スタンド設置も破竹の勢い
中国のEV産業は、活況を呈している。2020年、国内でのEV生産台数は100万台だった。だが2028年までには年間800万台が生産されるだろうと世界的な自動車関連の調査会社「LMCオートモーティブ」は予測している。
LMCの予測によると、北米の自動車メーカーが2028年までに生産するEV台数は、年間140万台にすぎない。なお、2020年の生産台数は41万台だった。
中国は、すでにインフラ面でも整備されている。政府支援による公共の充電スタンドが80万ヵ所以上で設置済みであり、その数は世界中に設置された充電スタンドのおよそ2倍に当たる。
完全EVの市場規模はすでにプラグインハイブリッドカーのそれを上回っており、その差は急速に開きつつある。GMなど複数のメーカーは、ガソリン車とディーゼルエンジン車の生産を15年以内に完全に廃止するとしている。
中国のEV工場に覇者の兆しか
シャオペン社発展の陰には、中国政府の関係者の協力があった。広州近郊にある肇慶市の国有企業は2017年、同社に250億円超を貸し付け、その資金は年間約10万台の生産能力を持つ最初の工場の建設にあてられた。武漢市も、シャオペンの工場建設地の購入と低金利での資金調達を支援している。
2021年、パンデミックを切り抜けたシャオペンは、「テスラ」の台頭で投資家の食欲をそそったウォール街でひと儲けした。新規株式公開とその後の株式売却で50億ドル(約5500億円)を調達し、その一部を新工場の建設や自動運転を中心とした研究開発に投じた。
シャオペンの潤沢な資金力は、莫大な費用をかけた肇慶工場のオートメーション設備を見れば一目瞭然だ。
工場の建設にかかった期間はわずか15ヵ月と、欧米の組立工場に比べて格段に短い。工場の最終組立エリアのヤン・ホイ本部長は、以前勤めていたドイツの自動車パーツ工場と比べて、シャオペンでは意思決定のスピードが速いと語る。
アジアの自動車市場を専門とするコンサルタント会社「ZoZo Go」のマイケル・ダンCEOは、自動車産業の今後の見通しが明確になりつつあると語る。
「EV生産にかけては、中国が世界の覇者になるでしょう」
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