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執筆者の写真Shunta Takahashi

中国への経済依存を脱せないドイツは、中国にスパイされまくっていた【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.100】

7月6日、独TV「ドイチェ・ヴェレ」でこんなニュースが報じられた。 「ドイツ連邦検察庁が、中国のためにスパイ行為をしていた疑いでドイツ国籍の政治学者を拘束・起訴したと発表した。

この学者は、ドイツの政治家などから得た情報を、10年間にわたって中国の情報機関に提供していた疑いがもたれている。だが実はダブルスパイで、長年ドイツの対外情報機関「連邦情報局(BND)」にも協力していた。人道的活動をする財団で、学術的な分野でも存在感を見せつつ、諜報活動に関与していた。

ちなみにドイツでは、2014年にもBNDの諜報員が米CIA(中央情報局)とのダブルスパイだったとして逮捕されている。

EUはロシアと中国のスパイだらけ

今回のニュースを報じた香港紙「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト」によれば、中国のスパイ機関は積極的にドイツ人を狙ってリクルートしようとしていると、ドイツの情報機関が指摘している。

2017年には、中国の情報機関がリンクトインなどのSNSを駆使し、ドイツ政府高官らの情報を集めていることが問題になった。2018年にはドイツの大手特殊化学品メーカーの元社員が中国のために機密情報を提供していたとして逮捕されたりしている。また同年、中国のスパイがドイツの国会議員に、情報提供のために3万ユーロをオファーしていたことが暴露されている。

さらに、中国人がドイツのハイテク企業へ投資を行うなどすることで、知的財産や機密情報を盗もうとしていると、ドイツの情報機関は警告している。こうしたケースが数多く発生しているということだろう。

強まるロシアと中国の影響力

とはいえ、ドイツもスパイ活動を活発に行っている。 たとえば2015年には、国際司法裁判所(ICJ)、世界保健機関(WHO)、国連児童基金(UNICEF)、赤十字社(Red Cross)、米連邦捜査局(FBI)、さらに米軍事大手ロッキード・マーチンなど欧米の多くの企業にBNDがスパイ工作を仕掛けていたことが指摘されている。

なお、アメリカなどが敵視している中国とビジネス関係で深く繋がっているドイツは、その関係を重視している。

2011年から2016年までBNDを率いた元トップのゲアハルト・シンドラーは、ドイツは中国依存から抜け出すべきだと指摘し、問題となっている5Gでも中国の電子機器大手ファーウェイの通信機器を禁止にするよう主張してきた。だが経済的に依存しているため、ドイツ政府はアメリカのように中国を強く批判できない。

またロシアに対しても同様だ。同国が主導している「ノルドストリーム2」が間もなく完成される予定だ。これによってロシアの影響力が強まりかねないとも批判されている。 そうした背景があるなかでドイツがスパイの摘発を強化しているのは、中国やロシアとの関係性、そしてこれにからむ批判と無関係だとは言えないだろう。

表向きには関係を維持しつつ、裏で情報活動の動きを締め付ける──これが中国とロシアだけでなく、アメリカなどへのメッセージだとする見方もあるのだ。 イベント参加はこちらから。 https://peatix.com/group/7228383


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